地下の銅鋳造所
古代に、ティムナ渓谷で採掘され精錬された銅の一部は、そこから北に150キロばかり離れたアブ・マタルという村に運ばれ、実用品に加工されたと推定されています。
アブ・マタルにはいくつかの地下室が並んでいて、そこで鋳造が行われていたのです。
金工職人たちは、穴の中で火をおこしてから、粘土を焼いてつくったるつぼに銅を満たし、真っ赤に熱した炭火の上にそっとかけておく。
そして、ロートアイアンなどの金属の小片が徐々に溶けるまで、火吹き筒で息を吹き込み、空気を送って火を燃えたたせるのです。
ついで、ふたりの男が組になって、燃えないように湿らせた生木の枝で、熱したるつぼをはさんで火からおろし、石の鋳型のところへ運んだ。
このとき、ふたりは互いに呼吸を合わせなければならなかった。
片方がつまずきでもすれば、それこそ悲惨な結果になるからです。
彼らは鋳型がすえられている場所へるつぽをゆっくりと運び、ついでぐらぐら煮えたぎっている銅を、形を彫り込んだ鋳型に流し込んだ。
銅は数分以内に固まり、処理できる程度に冷える。
銅は冷却するうちにわずかばかり収縮するので、鋳型の面からはがれ、比較的容易にはずすことができました。
斧の刃、槍の穂先、のみなどの鋳造品は、次に不完全なでこぼこの部分をなめらかに仕上げる役割の人に引き渡されるのです。